第4章 西方組織抗争
拠点に戻り、今回の作戦で捕らえた男へ話を聴くことにした。
しかし、何故か私は中也と二人執務室のソファにいた。
「あの、中也さん。捕らえた男良いんですか?」
向かいで腕を組みながら黙っている上司に尋ねる。
「あのー…」
「報告しろ」
「はい?」
「先刻、手前の言ってた客についての報告が先だ」
「あーなるほど」と返し、先刻遭った男について話した。
「たぶん、捕らえた男達の仲間だと思う。
何だろう。隙のない人だった」
中也は黙って聞いていた。
「飄々としていて、揶揄う様な口調で話すーー」
「おい。まさかあの糞鯖じゃァねぇよな?」
遮る様に中也が聞いてきたので「まさか」と答えた。
「太宰さんよりは大分年上に見えたよ。
正直、もう逢いたくないかな。
あの人と話していると何かこう絡め取られるみたいな感覚になるの」
中也は少し悩んでから口を開いた。
「次奴に逢ったら連絡しろ。
手前が無理だと判断した相手なんて
ここの構成員じゃァ無理だ。俺がやる」
私は「判った」と答えこの話はここで終わった。
● ● ●
中也は捕らえた男の元へ向かった。
「調子はどうだ」
「中原幹部!この様な所に態々ー」
「御託はいい。吐いたのか、吐いてねェのか」
構成員の言葉を遮り質問を繰り返す。
構成員の男は焦りを滲ませながら応えた。
「まだ何も話しません。
萩原さんを呼びましょうか?」
「必要ねェよ」
中也は捕らえた男の方へ歩いて行った。
目の前で止まり、男の前髪を掴んで目線を合わせる様に顔を上げた。
「なァ、人の身体ってどれ程の重力負荷を掛ければ壊れるか。
手前は知ってるか?」