第4章 西方組織抗争
来てくれると、信じていたーー
地面まで五米の所で私の身体はふわりと抱きかかえられ、そのまま地面に着地した。
「やっぱり来てくれた」
私は小さく呟いた。
助けてくれたのは中也だった。
「おい、葉月!意味深な言葉残して切ンな!」
「ごめんね」と素直に謝る。
中也は少し御立腹の様子だった。
急いで来てくれたのか、少し呼吸が乱れていた。
「ンで、その客とやらは如何した?」
中也は屋上を見上げる。
「たぶん帰ったと思う。
それより、下ろしてほしいかな」
客については今はこれ以上聞かれなかった。
ただ、屋上から私に視線を戻して言った。
「手前、こんなんで立てンのか?」
「え?」
自分では気付いていなかった。
私の身体は小刻みに震えていた。
あの男とのほんの少し対峙しただけで全身の筋肉が緊張していた。
それ程隙のない相手だった。
「このまま帰ンぞ!」
「え!?一寸待って!これで帰るの!?
凄い恥ずかしいって!」
「厭ならサッサと治しやがれ!黙って運ばれてろ」
そのまま中也は私を抱えながら、迎えの車に戻って行った。