第4章 西方組織抗争
三十分ほど経って数名の構成員を従え中也が戻ってきた。
「お疲れ様です。
成果は如何でした?」
「上々だ。首領に善い土産になりそうだ。
其方は如何なんだ?」
「一人が先に目を覚まし
今は構成員数名が話を聞きに言っています」
「素直に話しそうか?」
「否、難しいかと。
最終的には私が向かいますので」
中也は自分の椅子に座り
構成員に部屋を出るように指示した。
部屋を出たのを確認し、煙草に火をつける。
「手前の拷問術はあの木偶の受売りだ。
口を割らねェ奴はいねェだろ」
中也は目を細めた。何かを思い出すように。
私は何も言えずに黙っていた。
その時、私の電話が鳴った。
中也に軽く了承を得て電話に出た。
「萩原です」
『もう一人の男が目を覚ましました』
「判りました。私も向かいます」
そう言って電話を切った。
「では、行ってきます」
「おう」と、短い返事を聞いて部屋を出た。
● ● ●
空が白み始める時間帯、私はまだ地下にいた。
十二時間近くはここにいる。
私は椅子に座りながら向かいにいる捕虜を見ていた。
金髪男は顔が腫れ上がり、虫の息だ。
坊主男は外傷は少ないが、精神的にキているのか目が虚ろだった。
「更々話す気になりましたか?
私も心が痛くなって来ました」
坊主男は何も答えない。
「…先程入った情報ですが貴方達の組織、蕭然組でしたっけ?
彼等が貴方達を切り捨てる事が判りました」
男はピクリと動き目線だけ私に向けた。
「もう一度聞きます。蕭然組の首領が密会をしている相手を教えてください」
男の心はもう限界まで来ていた。
隣で部下の悲鳴を聞かされ続け、組織にまで捨てられた。
普通なら疑っても可笑しくない情報だが
今、この男に情報を確認する術はない。
それに、この十数時間で私が言っている事は
全て本当の事ということを判らせていた。
男は静かに口を開いた。