第4章 西方組織抗争
二人に盗聴器、発信機の類が無いことを確認し
麻酔を打ち車に乗せて移動した。
移動先は勿論、この街にあるポートマフィアの拠点だ。
中也には
【男二人捕らえました。拠点に戻ります。
合流出来ずに申し訳ございません。】
と、メールを入れた。
捕らえた男二人は地下にある部屋に移された。
音漏れなどが無いよう石造りで出来た拷問部屋だ。
私は二人を、壁についている鎖に繋いだ。
二人が起きるであろう時間まで約二時間程ある。
私はこの拠点の構成員二名にここの見張りを任せて
専用の執務室に戻った。
備え付けのパソコンの電源を入れ
先程見回っていた区域に仕掛けた
小型カメラの映像を拾う。
この区域には防犯カメラが少ないため、判りづらそうな小さいカメラをいくつか仕掛けてきたのだ。
映像を切り替え乍、様子を伺う。
どうやら、まだ連れてきた二人の男を探す人影はない。
私はふーっと一息ついた。
先程捻り上げられた腕が少し痛む。
腕を摩っていると、電話が鳴った。
「萩原です」
『俺だ。捕虜の様子は如何だ』
電話の相手は中也だった。
「いまは麻酔で眠っています。
目覚め次第、始める予定です」
『其の二人は何か知ってンのか?』
「それは判りません。
聞いてみてのお楽しみです」
『俺も今から戻る』
「判りました。
……ねぇ、中也」
仕事の口調から私用の口調へ変わる。
『何だ?』
「朝御飯、有難う」
『…おう』
そう言って電話は切れた。
私はこの後の準備を始めた。