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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第4章 西方組織抗争


朝、起きるともう中也は居なかった。
食卓には軽い朝食が準備されていた。
朝食を食べ、食器を洗い、身支度を整えて家を出た。

今日は予定通り
前日行けなかった所への調査だ。
私は拠点に寄らずに目的地へ向かった。

昨日回ったところとは違い
浮浪者が目立つ地域だ。
この辺りはとある中規模の暴力団の縄張りと聞いている。
勿論、リストに名前の上がっている組織だ。

暫く歩いていると
後をついてくるように二つの足音が聞こえた。

(追い剥ぎかしら?それとも…)

少し様子を見ながら気付いてないフリをして歩き続けた。
細い路地に入り少し歩くと、二つの足音は勢いよく近付いてきた。
私が振り返るのと同時に、腕を捻じ上げられ壁に押し付けられた。

「こんな処に女の子一人で歩いてちゃダメだって教わらなかった?」

後ろに居たのは体格のいい坊主の男と、細身の金髪の男だった。
如何にもな奴等だなと思いながら恐がるフリをして尋ねた。

「ッ!貴方達何なんですか!?放してください!」

少し涙目になりながら訴える。我ながら中々の演技だと思う。

「大人しくしろ。有り金全部置いてけ。蕭然組って云やァわかンだろ?」

坊主の男は更に私の腕を締め上げる。

「ーッ!」

「兄貴!此奴売っちまいましょう!いい金になりそうですぜ!」

金髪が短刀をちらつかせる。
その時。

異能力ー氷島

私を押し付けていた壁から
二本の氷柱が現れ二人の男の顔に当たり、後ろに仰け反って倒れた。
坊主男が離れた隙に金髪男から短刀を奪い坊主男の手に刺した。
刺した短刀は地面まで突き抜けていた。

「ぐあっ!」

それ以上坊主男の声は出なかった。
口にハンカチを詰め込まれたのだ。
金髪男は突然の出来事と、余りの恐怖で声すら発せられていない。
その方が好都合なのだが。
私は金髪男に向けて言った。

「動くな。話すな。私が佳いと言うまでだ」

金髪男は黙って頷いた。
坊主男も突然の出来事と手の痛みで目を白黒させていた。
私は持っていた縄で坊主男の無事な手と金髪男の手をまとめて縛り、
金髪男にも猿轡を噛ませた。
金髪男はガタガタと震えている。

「萩原です。
男を二人捕らえました。
迎えをお願いします。
ですが、目立たぬようお願いします」

そう伝え電話を切った。
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