第1章 月に吠える
中也が視線を向ける先に、二人の少女はいない。
驚いて入り口をみると、そこには
力なく崩れる葉月と葉月を支える葉琉の姿があった。
「ーーッ!……信じられない…私たちの世界が…!」
葉月は先刻の事態に思考回路が停止していた。
「しっかりして!葉月!
このままじゃ私たち殺されちゃう!」
葉琉は必死に葉月の肩を揺する。
「……どーなってンだ?こりャ!?」
中也も訳が分からず太宰の返答を待つ。
太宰は微笑みながら二人の少女に声を掛けた。
「君たちは殺さないよ。
それに、君たちにも私たちを殺す理由はない。」
葉琉はキッと太宰を睨みつけ叫んだ。
「ポートマフィアがお父さんとお母さんを殺したンでしょ!?」
「それは違うよ。」
太宰は答える。
「君たちのご両親を殺した輩なら、私たちポートマフィアも追っている。何せ、君たちのお父さんはポートマフィアの準幹部だったのだから。」
「……は?」
葉琉は信じられないような驚きを滲ませた顔で太宰見た。