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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第4章 西方組織抗争


話も一区切り付いたところで
姐さんの部下がお茶を出してくれた。

「主ら、住む所は決まっておるのか?」

姐さんはお茶を飲みながら尋ねて来た。

「近くに宿を取る予定です」

「何?宿じゃと?
……少し待っとれ」

姐さんは近くにいた部下を呼び
何やら話し始めた。
部下は急いで部屋を出て行った。

「主らは今日から此処へ住め」

姐さんは私達に鍵を渡した。

「私の別宅の一つでのぅ。
宿なんかより安全じゃ。
購うたばかりで一度も住んどらん。
家具家電はいま揃えさせておる」

「姐さん、気持ちは嬉しいが
俺達なら自分達でなんとかーー」

「成らぬ!」

中也が姐さんの説得を試みるが
こうなった姐さんを止める術はない。

(あぁ、姐さんの心配性が此処にきて…)

中也は言い包められ、意気消沈していた。

「もうこんな時間か。
私はヨコハマに戻んとならん。
中也、葉月。
呉々も無理はするでないぞ」

「姐さん帰るんですか?」

中也は驚いて尋ねた。
たぶん、中也も姐さんはもう暫くは此方に残ると思っていたのだろう。

「鴎外殿の頼みでのう。
拾った少女を見て欲しいそうじゃ」

「それって、泉鏡花ちゃんですか?」

「何じゃ。知っておるのか?」

「はい。何度か見たことがあります。
なんか…虚ろな目をした子でした」

心配そうに目を伏せる私に
姐さんは微笑みながら言った。

「…葉月。心配するでない。
その童は私が闇の花にしてみせよう」
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