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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第3章 【SS】中原中也の幹部昇進祝賀会


時間もだいぶ遅くなり
気がつくと芥川くんと銀ちゃんは
壁際に用意されていた椅子にもたれかかり
眠ってしまっていた。

暗殺者がアレで大丈夫なのかな?
とも思ったが
今日を楽しんでくれたと思えば
悪い気もしなかった。

私も壁際にあったソファに腰をかけた。
すると、そこに主役がやってきた。

「隣、いいか?」

「どーぞ」

中也は立原さんとカラオケしてたと思ったが
よく見ると立原さんは床で寝ていた。

「今日は有難うな。
こんなに楽しかったのは久々だ」

中也は笑いながらお礼を言った。

「私ではなく、紅葉の姐さんにお礼してください。
私はただ、皆んなにに声を掛けただけです。
料理もケーキもプレゼントも、全て姐さんが用意したものですから」

「用意してくれた事じゃねェよ。
今日、一緒に祝ってくれた事だよ」

中也は少し拗ねた顔で言った。
そんな中也が可愛くて、思わず笑ってしまった。

「何が面白いンだよ」

「なんか、中也さんが可愛くて」

すると、グイッと中也が私に顔を近づけた。

「あのよォー。中也だろ?
ほら、言ってみろ」

「いや、ほら
皆んないるし…酔ってる?」

ほんのり赤みがかった顔が更に近く。

「寝てンだろ。
ほら、呼べよ」

「ちょっ…まって…中也…!
近いって!」

中也は半分以上私の上に乗っている状態だった。

「よく出来ました」

ニヤリと笑った中也が
私の頰にそっと触れ
あと少しで唇が触れそうな距離で
ドサッと私に倒れかかった。

「……中也…?中也さーん?」

慌てて揺すると小さい鼾をかいて寝ていた。

(私……いま…危うく流されるところだったー!)

寝ている中也の髪をそっと触ってみる。
柔らかくて、触り心地のいいふわりとした髪。

「中也、おめでとう」

小さく呟き
ゆっくりと頰を撫でた。
許されない、愛しい人との時間

少し名残惜しいが
私の上で寝ている中也をゆっくりと下ろし
ソファに寝かせた。

(ダメだ。次どんな顔して会えば……無理、帰ろう)

起きた中也に会いたくない一心で
静かになった会場を足早に抜け出した。
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