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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第3章 【SS】中原中也の幹部昇進祝賀会



ーー乾杯!

宴が始まった。

普段こんなメンバーで食事をするなど
滅多にない。
紅葉の姐さんの言う通り
中也という人間性の賜物なのだろう。

中也は集まってくれた一人ひとりに
お礼を言いに回っている。

「葉月や。
そんなに見つめても中也は気づかんぞ?」

「あ、姐さん!?」

いきなりの後ろからの姐さんの声で
私は驚いた。

「そんなに見てました?」

「なんじゃ。無自覚か」

姐さんは呆れながら笑っていた。

「中也は善い男よ。
此のポートマフィアの五大幹部になったのなら
更に言い寄る女も出てこような。
ちと、身長が難点じゃがな」

姐さんは笑いながら言った。

わかっている。
身長は低いが元々持っているスタイルはいい。
財力もあり、更に此れからは権力も付く。
これは世の姫方が黙っていないだろ。

「善いのか?」

「何が、ですか?」

姐さんの表情が少し寂しそうになった。

「其方も、自分の気持ちに正直になったらどうじゃ?
中也なら主の気持ちも受け止めてくれると思うぞ?」

「姐さん。私、葉琉より先に
幸せになる訳にはいかないんです。
葉琉に辛い思いをさせてしまったのは私です。
だからせめて、葉琉が幸せになるまでは
私は今のままで善いんです」

「中也が待ってくれるとは限らんぞ?」

「わかってます。
その時は、その時です」

私は姐さんに笑ってみせた。
姐さんも少し困った顔で笑ってくれた。

「そうか。
其処まで心が決まっておるのなら
後は何も言うまい」

そう言って離れて行った。






しばらくして
首領、エリス嬢、姐さん、広津さんは
後は若い者で楽しめと
先に帰っていった。

中也と立原は
酔った勢いでどこから持ってきたかわからない
カラオケセットで歌い始め
芥川くんは真顔で
これも何処から持ってきたかわからない
タンバリンを叩いていた。
銀ちゃんは大人しくご飯を食べている。

(ーー此れどうしたらいいんだろ。
なんか色々と混沌過ぎる…)

まぁ、主役が楽しそうなので
とりあえずは見守る事にした。
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