第2章 黒の時代
ーー23時
だいぶ夜も深くなった。
太宰さんと葉琉はどこに行ったのだろう。
何故姿を消したのだろう。
一日悩んでいたが答えはでなかった。
もう寝ようと居間の電気を消したその時だった。
カーテンが勢いよく旗めいた。
振り向くとそこには消えた筈の葉琉の姿があった。
「…………葉琉」
私は驚きを隠せなかった。
葉琉でもわかっていた筈だ。
私が此処にいるのが罠だと云うことを。
「…どうやってこに?
周りには見張りがいたはずだよ!?」
私は慌てて窓の近くから葉琉を離した。
狙撃を警戒してだ。
「大丈夫だよ。
治ちゃんが狙撃手の位置と見張りの位置を割り出して
もう無効化してるから」
葉琉はそう言うと微笑んだ。
「葉月。一緒に行こう。
織田作はミミックの首領と戦って亡くなった。
私と治ちゃんは間に合わなかった」
私は俯いた。
嗚呼…最悪の台本だ…
「織田作がね
最期に言ったの。
人を救う側になれ。って
私と治ちゃんねポートマフィアを抜ける」
ハッと葉琉を見た。
「抜けるって…」
私は驚きを隠せなかった。
父の事を言おうとしたが飲み込んだ。
復讐のためとはいえマフィアに入ろうと言ったのは私だ
私が葉琉を闇の世界に連れて行ったのだ。
「私は…行けない」
「お父さんの復讐のこと?
それなら私たちはもう力もついた。
治ちゃんもいる。
自分たちで探すのも可能だと思ってる」
葉琉は父の事を忘れていなかった。
「此処にいなくても
もう私たちはやっていける。
治ちゃんがね、ちょっとした当てがあるそうなの。
一緒に行こう」
葉琉はもう一度私に言った。