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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第2章 黒の時代


「……無理だよ。
私は…行けない」

静かに葉琉を見つめた。
葉琉は寂しそうな顔をしていた。

「今回の事件
私なりに考えてたの。
どのような事が起きて、どうなるか。
考えてた通りになったわ。
自分で驚いているの。
ねぇ葉琉。
私はこうなる前に止める事ができたの」

葉琉は驚きから言葉がでなかった。

「どう?
もう立派なマフィアでしょ?
こんな人間がもう光の世界に戻れるわけがない」

ふふっと笑いながら言った。
葉琉は何も言えずにいた。

「葉琉…もう時間だ。
そろそろ行かなくては」

開けっ放しのバルコニーから太宰さんの声が聞こえた。
葉琉はクルリと翻しバルコニーに向かい進み始めた。
バルコニーに出る直前に足を止めて葉琉は呟いた。

「さよなら……お姉ちゃん…」

チラリとみえた葉琉の目には一瞬だけ光ったものが見えた。

「太宰さん。……葉琉をよろしくお願い致します」

私は涙を堪えてバルコニーにいる見えない彼に言った。

「中也によろしくね。葉月ちゃん」

顔は見えないがまた微笑んでいるのだろうと思い
ふっと笑った。

そのまま二人は夜の闇に消えて行った。
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