第2章 黒の時代
「何シケた面して歩いてンだ?
俺にも気が付かないとか、周り見えてなさ過ぎだろ」
中也は呆れ顔でため息を吐いた。
「中也はこんな所で何してるの?」
中也の心配を他所に私は尋ねた。
「あ、いや、…別に…」
何故か焦り出す中也。とても目が泳いでいる。
こういう時の中也は隠し事をしているときの中也である。
私はクスリと笑った。
「〜〜〜ッ!嗤うな!くそッ!」
恥ずかしさを隠そうと帽子で顔を隠す中也。
その姿さえも愛らしい。
「ところで、私に何か用?」
「いや、ただ見かけたから。
家に帰ンなら乗ってくか?」
中也はそう言って傍に停めている自分の車を指した。