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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第2章 黒の時代


病室の扉をノックし、中に入ると
目当ての人が点滴を打ちながら横たわっていた。

「葉月さん!」

芥川くんは慌てて起き上がろうとしたが
急いで止めた。

「そのままで大丈夫です。
起き上がらないで」

そう言うと芥川くんはもう一度背中をベッドに預けた。
ちょっとみた感じだとそんな酷い傷ではなさそうだ。

「治療中にごめんね。
ちょっとお話を聞きたくて。
…ミミックと一戦交えたんだって?」

私の言葉にピクリと反応した芥川くんは
無言で続きを促した。

「ミミックについて教えて欲しいの。
闘った芥川くんにしかわからないこと
あると思うの」

芥川くんは少し考えて答えた。

「貴女はもう、太宰さんの部下ではない。
何故にそこまで彼の方に尽くすのですか?」

逆に問われ私は首を横に振った。

「太宰さんのためじゃないわ。
私が知ろうとしていることなんて
彼の人はとっくに知っていると思う。
私は葉琉のために知りたいの。
何か……いやな予感がするの」

芥川くんはもう一度考えて

「姉妹のため……。優しいですね。貴女は」

と呟いた。

「あら。芥川くんは銀ちゃんの為に、とかないのかしら?」

いきなり妹の名前が登場した動揺から
芥川くんは一瞬カッと目を見開いたが直ぐに戻り
先刻の質問の答えを返してくれた。

「ゴホッ………ミミックの首領は異能者だということはご存知ですよね。
未来予測の異能者でした」

「未来予測って織田作さんと同じということ!?」

芥川くんはコクリと頷いた。

「………そう。だから織田作さんに…」

そう呟いてから立ち上がった。

「芥川くん。有り難う。
しっかりと治してね」

そういうと病室を後にした。

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