第1章 月に吠える
ドォンッー
勢いよく吹っ飛んだ扉が天井にあたり落ちてきた。
今回の任務は
ポートマフィアの武器を横流しした武器密輸会社の殲滅。殲滅、といっても此方の戦力は中也一人だ。
一人でも充分。という自信と、首領からの信頼がある。
奇襲の如く、中也は倉庫に駆け込んだ。だが、そこで眼にしたのは
既に生気を失っている無残な死体の山だった。
中也は驚きを隠せない。周りを警戒しながら息を呑む。
「ンだよこりゃ!おい!太宰!どーなってンだ!殲滅どころか、既に死んでンぞ!」
焦り混じりに指示を仰ぐ中也に太宰はため息混じりで応えた。
『はァー…。面倒なことになったな。
中也、そのままそこにいろ』ープツッ
「なッ!?おい太宰!太宰!」
インカムが切れ、そこから太宰の声は聴こえなくなった。
その時、二階の奥から男の悲鳴が聞こえた。
「ギャァァァァアアアアア!!」
ハッとした中也は異能力を使い一目散に二階の奥の部屋に向かった。