第11章 【SS】海辺の休日
芥川のサーブを葉月が受け、紅葉のトスで葉月がアタックする。それを中也がレシーブし、芥川のトスで中也が飛び上がった。中也の打った球は真っ直ぐ紅葉の元へ向かった。
スパーン
「「「!?」」」
何とも気持ちのいい音と共に球が半分に分かれた。紅葉の後ろには夜叉が現れていた。
「………姐さん」
「闇に生きるもの故、つい………済まぬな、葉月」
葉月と紅葉は異能仕様の為、失格となった。
まさかの試合展開に中也と芥川は何が何だか判らず、目を見開いた儘暫く動けずにいた。
葉月と樋口が膝を抱えて敷物に座って次の試合の様子を見ていた。
次の試合は【広津、エリス】対【立原、梶井】の対決だ。首領はエリスの姿を近くで見ようとコートギリギリまで詰め寄っている。
「葉月さん、済みません。私の所為で負けてしまって」
樋口は申し訳なさそうに謝罪した。
「樋口ちゃんの所為じゃないよ。何処ぞの乱暴者君の所為だよ」
同じく陰で休んでいる芥川に視線を向けると目を逸らされた。
「手前が芥川にちょっかいかけるからだろ」
葉月の後ろに立っていた中也がジロリと睨む。
「ちょっかいだなんて。そもそもチーム編成自体、偏りがありすぎるんですよ」
頰を膨らませ拗ねる葉月に中也は笑い乍、葉月の頭をくしゃりと乱暴に撫でた。
「酒場くらい何時でも連れてってやる。だから機嫌直せよ、な?」
中也は葉月の顔を覗き込む様にしゃがみ込む。葉月は少し顔を赤くし、満更でもない様子だ。そんな二人を間近で見ていた樋口は何故か一番恥ずかしくなった。
広津達の試合は呆気なく終わった。如何やらエリスが途中で飽きてしまったようだ。エリスはぷんすかと怒り乍、首領にお菓子の食べ放題を要求していた。
そして、最終試合が始まる。