第11章 【SS】海辺の休日
「ッし!今日は無礼講だ。手前らも本気で来いよ」
中也の言葉に気合いを入れる立原と梶井。
「いいンすか?中也さん。勝たせて貰いますよ」
その傍らで黒外套を羽織ったままの芥川が立ち去ろうとする。
「僕に遊戯など不要…任務を…!」
だがそれは中也にがっしりと肩を掴まれ阻まれる。
「手前に今から任務をやる。これに勝つことだ」
「ふっふっふっ!相手チームなどこの梶井が木っ端微塵に…!」
「梶井さん、それ即失格です」
葉月の横で怪しい笑みを浮かべ、何やら策を練る樋口がいる。
「そうだ…!葉月さんと中也さんを組ませれば私が芥川先輩と…!」
「樋口ちゃん、心の声漏れてるよ」
「中也さん!是非葉月さんと組んで下さい!」
「諦めろ、樋口。これは公正なくじ引きだ」
中也に断られ盛大に落ち込む樋口だった。エリスは未だに怒っている。首領に詰め寄りお菓子の食べ放題を賞品に請求していた。首領は「食べ過ぎは良くないよ」と断っているようだがあれは完全にエリスのペースだ。
一回戦目…Aチーム【中也、芥川】対Bチーム【葉月、樋口】
異能力の使用は即失格というルールで試合を行う事になった。勿論、唯の遊戯で反論する者などいない。
「何だよ。こりゃァ初戦は楽勝だなァ」
ニヤリと笑う中也に葉月は「それは如何でしょう。簡単にはやられませんよ」と笑い返す。葉月は下ろしていた髪を一本に纏めた。樋口は「芥川先輩を勝たせたい!でもチームとして葉月さんを負けさせる訳には…!」と頭を抱えている。
そして、試合が始まった。