第11章 【SS】海辺の休日
葉月達の元へやって来た中也は「何作ってンだ?」と尋ねた。葉月は笑顔で「お城ですよ」と答える。エリスは門の為の砂を盛っていた。
「中也と葉月が結婚したら私がお菓子のお城を作ってあげるわ!」
「「え!?」」
ブワッと赤くなる二人に樋口は膝で顔を隠し笑いを堪えている。銀もそっと目を晒す。
「あら、中也は葉月と結婚したくないの?」
「否、そう云う訳ではーー」
「あ、エリス嬢!門が出来ましたよ!」
葉月は慌てて砂で作った門を指した。その隙に中也はそそくさと離れて行った。樋口は肩まで震えていた。
その後無事に城は完成し、首領がエリスと一緒に写真に収めた。中也は立原と梶井と三人で海を泳いでいる。帽子は葉月が被っていた。紅葉は広津が準備した読み物を片手に微笑ましくその光景を見ており、芥川は日陰で涼んでいた。
一通り落ち着いた処でエリスからある提案が出た。
「みんなで水排球しましょう!」
「でもエリス嬢、ネットも何も無いですよ?」
「広津さん、ネットあるかね?」
「御座います」
((((あるんかい!))))
一同心の中で突っ込みを入れてコートの設営を行った。チームはくじ引きで決める事となり、其々くじを引いた。
Aチーム【中原中也、芥川龍之介】
Bチーム【萩原葉月、樋口一葉】
Cチーム【広津柳浪、エリス】
Dチーム【立原道造、梶井基次郎】
首領と紅葉は見ているようで、銀は得点係をやる事になった。試合はトーナメント方式で 11点先取で勝ちとなる。賞品がないと盛り上がらないと言い出した首領が、今回泊まるホテルの最上階にある酒場で好きに呑んで良いと言ってくれた。これに気合が入ったのは中也、立原、梶井の酒好きの連中である。
中也はあまり乗り気でない芥川に気合を入れる。
葉月と樋口は程々に頑張ろうと和気藹々ムード。
エリスはお酒が賞品では楽しくないと怒っており広津がそれを宥めている。
立原と梶井は唯々盛り上がっていた。