第11章 【SS】海辺の休日
「なんじゃ、喧しいぞ」
ロビーで騒いでいる中也達を一言で黙らせたのは紅葉だ。紅葉は赤のワンピースタイプのカットアウトの水着を着用し、上には白のレースガウンを羽織っていた。
「わぁ、姐さん凄い綺麗です!」
「葉月は素直で可愛いのう」
紅葉はにっこりと笑って葉月の頭を撫でた。
「いやぁ、待たせたね」
「もう、リンタロウが浮き輪膨らますの遅いから!」
エリスに手を引っ張られ乍、首領も到着した。後ろには広津の姿もある。
「首領、貸切の砂浜をご用意致しました。其方へ」
「済まないね、広津さん」
確かに此処には芥川や梶井といった指名手配犯がいるため、あまり人前に出るのは好ましくない。正直護衛の人選ミスだとは思っていたが、敢えて突っ込まない事にした。
用意されたバスに乗り込み、一同砂浜へ向かった。
バスで10分ほど走った所にある誰もいない砂浜。目の前には蒼い海。確かに此処なら指名手配犯も羽を伸ばせる。
砂浜に敷物とビールパラソルをセットし、何処から出したのかテーブルやビーチチェアなどを準備していく。
準備が整うと首領と紅葉はビーチチェアで横になり談笑を始めた。
葉月はエリスに手を引かれ波打ち際で脚に掛かる水を楽しんでいた。
「いいよ。皆、各々好きに楽しみなさい」
首領の言葉で他の連中も動き出す。広津と中也、芥川だけが首領の傍らから離れなかった。