第11章 【SS】海辺の休日
「如何かしたか?」
チェックインを済ませた中也が固まっている葉月に声を掛ける。樋口はいそいそと離れて行った。
「中也さんの所為です」
「あァ?俺が何したってンだよ。ッてか仕事スイッチ入ってンぞ」
中也は葉月の話し方を指摘する。そりゃ仕事スイッチも入る。これだけ馴染みの顔が揃えば完全なデート気分という訳にもいかない。
「済まないねえ、中也君、葉月ちゃん。君達は二泊の予定だったよね?我々は明日には帰るから」
申し訳なさそうな笑みで告げる首領に中也と葉月は「否」と答える事しか出来なかった。
「チュウヤ、葉月!二人も一緒に遊びましょう」
葉月に飛びつくエリスを鴎外はおどおどし乍見ている。
「エリスちゃん、中也君達は今日デートだから…」
葉月は中也の顔を見て確認を取ると笑って「構いませんよ」と言ってエリスの頭を撫でた。
「本当かい?助かるよ。では各自着替えてまた此処に集合ね」
首領の言葉でその場にいた紅葉、芥川、樋口、広津、立原、銀、梶井、そして中也と葉月は各自渡された鍵で其々部屋へ行くことになった。