• テキストサイズ

暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第9章 双つの黒と蕾の運命


中也は直ぐ様葉月達の後を追い太宰の元へ駆け寄った。

「治ちゃん!」

葉琉が抱き起すと太宰は「うふふふふ」と笑い出す。

「気持ち悪ィな」

「撲ち所が悪かったのでしょうか?」

「ゲホッ」と咳き込む太宰が吐いたのは血だ。

「手前…深手じゃねぇか」

流石の中也も焦りの表情を浮かべ、葉月と葉琉も驚きを隠せない。

「あの触手…実に不思議だ。異能無効化が通じない」

「そんなの有り得るの!?」

「私の無効化に例外はないよ、葉琉。可能性は一つしかない」

「…異能ではない、という事ですね」

「はァ…!?」

四人は一斉に男を見る。男は長髪を乱し、目は穿孔している。ぶつぶつと何かを呟いている様子だった。

「愉快な冗談だなァ、オイ。異能じゃねぇならありゃ何だ?」

「さぁ、それは私には判りません」

「たぶん、人外の類だろう」

「まるで幻想的だね。何時か龍とか出てきちゃったりして」

太宰は少し間を開けると提案した。

「仕方ない、懐かしの遣り方でいこう。作戦暗号『恥と蟇蛙の涙』は?」

「はァ?ここは『櫺子の外に雨』か『造花の嘘』だろうが」

「『月光と海月』でしょ」

「んー…私は太宰さんの作戦が適切かと」

「ほぅら中也、葉琉。私の作戦立案が間違ってた事は?」

葉琉と中也は「葉月が云うなら…」と返答すると、太宰は「あれ?提案者は私だよ」と主張している。葉月は「二人共、お願いね」と微笑んだ。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp