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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第8章 三組織異能力戦争


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葉月は目標である太宰がいると思われる駅に辿り着いた。

「私が彼を動かします。その後は例の地点に移動する筈です。お願いね、樋口ちゃん」

『判りました』

ゆっくりと近付き影から様子を伺う。太宰は直ぐに気配を察したのか勢いよく立ち上がり、共にいた人虎を置いて走り去った。

「銀ちゃん、動いたから其の儘追い込んで」

指示を出すと直ぐに葉月も動き出し目標地点へ先回りをした。




太宰は予定通りの地点で立ち止まった。

「此処なら人目も無い、出てきたら?」

後を追っていた銀は勢い良く飛び出し太宰の頸元に短刀を中てた。

「やあ銀ちゃんか。背、伸びだね」

「監視はお見通しという訳ですか」

樋口が銃を構える。

「生憎マフィアの監視術を創始したのは私だからね。でも可笑しいなあ。先刻感じた気配は君達では無かった。もう一人いるだろ?」

「気付かないフリして欲しかったのですが」とひょっこり現れる葉月に太宰は頭を掻き、呆れ顔である。

「私の仕事は貴方を誘い出す餌です。後は後輩達に任せて様子を見てる心算だったのですよ」

「やっぱり葉月ちゃんだったのだね。随分後輩思いだね。…で、用件は?」

「この銃が用件とは思いませんか?」

樋口の言葉に太宰は「思わないね」と返した。

「暗殺部隊にしては人選が半端だ。第一…私の暗殺なら希望者殺到で軍隊が出来るよ。てことで銀ちゃんも危ないからこれ下げてくれる?」

銀は大人しく短刀を仕舞った。樋口も一度葉月を見て頷くと銃を下げ、太宰に向き直った。

「確かに用件は別です。首領より伝言を言付かっています」

「へえ、森さんから?何かな。脅迫か恨み言か殺人予告か…心当たりが多すぎて困るね」

「伝言はこうです。『太宰君、葉琉ちゃんを連れてマフィアの幹部に戻る気はないかね?』」

太宰は一度驚いた表情を見せたが、直ぐに笑い出した。

「いや、実に目出度いお誘いだ。嬉しくて仕様が無いよ」

「貴方の記録を見ました。その手腕、敵の心臓を刳り貫くような暴虐…貴方の血はマフィアの黒です。この国の誰よりも。葉琉さんの功績もそうです。彼女の戦果は幹部にも匹敵する」

「…だってさ、葉月ちゃん」と太宰は葉月に視線を移す。
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