第8章 三組織異能力戦争
中也が雇った殺し屋は予定通り探偵社社長を襲撃した。しかし、その襲撃現場に探偵社社長の遺体は無く、雇った殺し屋達が倒れていた。
「チッこれだから外部の奴等は信用できねぇ」
様子を確認しに来た中也は、首領に連絡を入れる。
「首領、襲撃は失敗です。尾行も付けましたが…」
『腐っても探偵社の親玉だ。尾行されるほど柔じゃあないさ。
善いよ。予定通りだ。刺客の袖に付けた放射性追跡元素は?』
中也は端末を確認し「反応は良好」と答えた。
『其処が探偵達の隠れ家だ』
まるで遊戯をしているかの様に話す首領はここで通信が切れた。
中也は別の端末を取り出し違う人物に連絡を入れる。
「俺だ。先刻頼んだ件、終わったか?」
『戻って早々人遣いが荒いですね、中也さん。傷心に浸る暇も有りません』
「ハッ何が傷心だよ、この糞忙しい時に。姐さんを取り戻すにしても、先ずはこの戦争を終わらせる事だ。手前も判ってンだろ?葉月」
『捕虜には捕虜の仕事が有ります。探偵社も直ぐに姐さんを殺す事はないでしょう。あ、例の件でしたね。探偵社の事務員さんの居所を掴めました。それと、組合の者と思われる二人の映像も確認済みです。既に首領に伝えました。中也さんは一度戻り、次の作戦の準備をお願いします』
「……はぁ、俺の性に合わねぇだろ。次の作戦」
『じゃあ、私のと交替します?私はどっちでもいいですよ』
「絶対ェヤダ」
『随分食い気味ですね。では、首領が待ってますので早めのご帰還を』
「判った」
電話を切ると中也は本部へと戻って行った。