第8章 三組織異能力戦争
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ーーポートマフィア本部、最上階
テーブルに並ぶ様々な洋菓子。そのお菓子を美味しそうに頬張るのはエリスだ。部屋の主人である首領はその姿を心配そうに見つめていた。
「ねぇエリスちゃん、食べ過ぎは体に宜しくないよ」
「なんで?甘いは正義」
「そうだけど、でも…」
エリスの手は止まらない。それどころか首領を黙らせる奥の手を使った。
「前にリンタロウが購って来た襞付きのドレス、着てあげてもいい」
「お代わり要る?」
首領の態度はコロリと変わった。
「首領」
先刻まで部屋に居なかった人物が声を掛けた。報告を行う為に訪れた中原中也だ。
「生存兵に依ると組合襲撃後、葉月達より僅かに早く現場に着いた探偵社が配下の異能者、及び紅葉の姐さんを連れ帰ったとの事です。恐らくは『捕虜』として」
「姑息な連中だねえ」
「如何しましょう。我々と雖も五大幹部の一翼を人質に取られては迂闊に手が」
「よし!探偵社の社長を殺そう」
首領は閃いた様に続けた。
「暗殺が善いな。外部の殺し屋を使えば労力も掛からず、私達は対組合に傾注出来る」
中也は「手配します」と告げて部屋を出た。