• テキストサイズ

暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第8章 三組織異能力戦争


● ● ●


「姐さん、行かれるのですね」

葉月の瞳に映る背中はゆっくりと振り返った。そして、寂しそうな笑みを浮かべると何も言わずに行ってしまった。



● ● ●


その報せを受けたのは紅葉が任務に出て数時間後だった。

「襲撃された!?探偵社ですか!?」

『否、組合の連中です』

葉月の元に紅葉の部下から連絡があったのだ。葉月は部下を連れて急いで現場に向かった。





「ーッ!これは……」

現場は悲惨な状況だった。既に息をしていない者もいた。

「救護急いで!あと、車回して!」

何時もと違い荒い口調での指示に部下達にも葉月の焦りが伝わる。バタバタと動き始める部下を余所にぐるりと周りを見渡した。

「萩原さん、来てください!」

部下に呼ばれ意識が残っている紅葉の部下の元へ走った。

「姐さんは、尾崎幹部は何処ですか!?」

起き上がるのもやっとな男は「探偵社に連れて行かれました」と答えた。

「……何ですって」

「萩原さん!」

動揺している葉月の元へ別の部下が走ってきた。

「中原幹部からお電話です」

端末を渡され直ぐに耳に中る。

「萩原です」

『俺だ。状況は?』

葉月は生存者から事の顛末を聞き、それを簡潔に伝えた。勿論、紅葉の事もだ。電話の向こうで舌打ちが聞こえた。

『判った。首領には俺から伝える。葉月は手早く処理を済ませて戻れ』

「姐さん如何するの!?直ぐにでも…」

『手前が落ち着かねぇで如何すンだ。状況を確認して冷静に指示を出す。それが手前の仕事だろ』

周りには不安そうに葉月の様子を伺う部下達がいた。先刻までの葉月には見えていなかった光景だ。葉月は一度深呼吸をした。

「申し訳御座いません。任務を遂行します」

『姐さんについては首領に伝える。其方は頼んだぞ』

「…有難う」と言って電話を切った。葉月はもう一度深呼吸すると、部下達に指示を出し始めた。部下達も緊張が解れたのか先刻よりも早いペースで作業を行った。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp