第1章 月に吠える
「着いたよ」
太宰に声をかけられハッと目を覚ます葉月と葉琉。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
この2週間真面に寝ることもできなかったのだが、父の同僚たちと一緒にいる安心感から眠ってしまったようである。
「ほら!中也も起きて!!」
太宰はニヤニヤしながらそう云うと中也の頬をグニャングニャンに引っ張り回した。
「ーーッて!!
なにしやがンだ青鯖ァア!!」
ブチギレだ中也が太宰に殴り掛かる。
太宰はそれをヒラリと躱す。
「なにって、優しく起こして上げたのだよ」
「手前ェ!辞書で【優しく】って調べ直せや!
こンの自殺愛好者!今ここで死ね!」
太宰はハハハハハと笑いながら中也の攻撃を躱していく。
其の二人の派手な喧嘩を呆然と葉月と葉琉は見ていた。