第1章 月に吠える
助手席に中也が座り
後部座席に葉琉、葉月、太宰が座った。
太宰は車に積まれていた鞄から一冊の資料をだし
葉月に渡した。
「君たちの、お父さんについての経歴だ。
見てみるといい」
葉月は受け取った資料をサラサラとめくり閉じた。
「マフィアとしては素晴らしい功績なのでしょうね」
葉琉に資料を渡し俯きながら呟いた。
葉琉は葉月から受け取った資料を見始めた。
「君たちのお父さん、萩原さんは優秀だったよ。
首領からも一目置かれていた。
その功績をみて君のお父さんへの考えは変わったかい?」
そう聞かれて葉月は父を思い出しながら応えた。
「いえ。いまでもお父さんは立派な私たちのお父さんです」
其れを聞いて満足そうな笑みを浮かべた太宰は正面に向き直った。