• テキストサイズ

暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第6章 時として望まぬとて


「……少し救われました」

「少しだけかい?」

太宰は微笑んでいた。それはあの頃とは違う優しい笑みだった。

「太宰さんは私と葉琉が仲直り出来るように、葉琉を連れてきてくれたんですね」

「葉琉があまりにも辛そうだったからね」

「本当、葉琉の為なら何でもしますね。それで、見返りは葉琉の救出ですか?もし、私がマフィアを追われたら責任取ってくださいね」

「大丈夫さ。君には憎たらしいちっちゃいのがついる。それに、私が此処から出られないとでも思っているのかい?」

「判りました。全て太宰さんの所為にしておきます」

いつの間にか葉月も笑っていた。葉月はくるりと翻り、「有難う御座います」と呟いて部屋を出た。



● ● ●



私は葉琉のいる牢の前まで来た。目の前には目隠しをされ、両腕を組むように縛られて、床に座っている妹の姿。異能力を封じる為、薬まで打たれたと聞いた。私はその光景に唇を噛んだ。そして、「葉琉」と呟いた。

「…葉月」

葉琉は私の声に反応した。そして、目隠しの下から一筋の雫が零れた。堪らず扉をあけ、葉琉を抱きしめた。
/ 280ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp