第4章 西方組織抗争
確かに男のスピードは疾い。だが怒りの所為なのか動きが単調だった。そのお陰で私は攻撃を躱した続けた。
(そろそろかな…)
男がガクッと膝を付く。
「なっ!身体が…!」
私はそれを見逃さずに更に顎に蹴りを入れた。
「ッく!」
男は蹴ったまま抜けるはずだった私の脚を掴み、そのまま勢いで後方へ投げ飛ばした。
「きゃっ!」
私は床に転がった。だが、直ぐに立ち上がる。
男は顎に食らった衝撃でまだ立てずにいる。筈だった。
男は気合でゆっくりと立ち上がった。
「あら、凄いですね。まだ立てる様な身体ではないでしょう」
「それは、貴女もでしょう」
男の怒りも少し冷めたようだ。冷静な判断をできつつあった。
(さて、どうしたものか…)
男はゆっくりと私の方へ振り向く。
「もう、終わりにしましょう」
私は男に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
男は床を蹴った。だが、その脚が動くことは無かった。
床一面、氷で覆い尽くされていた。男の脚は氷で床に縛られていた。
「お前の能力は床に手を付けなくては出ないんじゃないのか!?」
男は驚きと焦りで叫んだ。
「あぁ、その事ですか。アレは貴方の様に騙される人の為の偽動作です。使い方は、今の様に使います」
私はにっこりと微笑んだ。
男の脚は蹴り出す事も出来ずに留まっている。
「待て!止めてくれ!」
「では、さようなら」
持っていた拳銃を男に向けた。
その直後、部屋には三発の乾いた発砲音が響いた。