第4章 西方組織抗争
私達は最上階の部屋に辿り着いた。
部屋の前に付くと、招かれる様に扉が開いた。
構成員達には残る様に告げて中に入った。
奥には眼鏡をかけた男性が立っていた。
目線のみで周りを伺う。
「貴方お一人ですか?」
「部下は皆、貴女達に殺されてしまった様なので」
「それは失礼致しました」
私は形式上の謝罪を述べた。
私も眼鏡の男もお互い探り合う様に薄い笑みを浮かべている。
「それで…貴方が私達と戦うのですか?」
「貴女の様なお若い女性を傷付けるのは心苦しいですが、任務ですので」
「左様ですか。ですが、此方も任務ですので遠慮はご無用です」
男の目が鋭くなるのが判った。それと同時に一気に間合いを詰めて来た。
(疾い、でも葉琉よりは…)
「遅い!」
男の仕掛けた右脚の蹴りは片手で流した。その流れで左手の裏拳を繰り出してくる。それを屈んで躱した。
その後直ぐに距離をとった。
「この数ヶ月の戦いであまり前線に出てこなかったように思えましたが、中々善い動きですね」
「お褒めに預かり光栄です」
私は拳銃を二丁抜いて相手に向け、男に発砲した。
男は軸足を起点に素早く回った。弾は風圧でその場で落ちた。
「あら、貴方異能者ですね?」
「そうです。ご覧の通り発動すると蹴りの速度が上がります。
勿論、蹴り以外にも使用できます」
そう言うと先程とは比べものにならない速度で詰め寄って来た。
間に合わない、そう思いガードの体勢に入った。
その瞬間、私は壁に叩きつけられた。
「ッく!」
(身体中の骨が軋む。数本イッたかな)
そんな事を思っていると男は畳み掛けてきた。
私は壁に手をつけた。
異能力ー氷島
壁から数本の氷の柱が出現する。勢いよく突っ込んできた男は自分の勢いと氷の出現した勢いで顔面を強打した。
「ッぐあ!」
男は大きく仰け反った。
「ふふっ。とても素敵な顔になりましたよ」
ふらつく身体をゆっくりと起こす。
男の表情には段々と怒りの色が見えてきた。
「……大人しくしてればつけ上がりやがって…!餓鬼だからって容赦しねぇぞ!」
男の口調が変わる。
先刻受けた攻撃の苦痛と怒りで最初に遭った時の顔と別人だ。
「それが本性ですか?大分余裕がない様ですね」
男は間髪入れずに突っ込んでくる。
だが、一度受けた攻撃だ。そう簡単には中てさせない。
