第1章 月に吠える
倉庫の外にでると、太宰は携帯を取り出して電話を始めた。
「掃除屋をお願いします。それと…迎えの車も。」
そう告げると電話を切った。
街灯も少ない夜の倉庫街に月明かりに浮かぶ4人の影。
話しを切り出したのは中也だった。
「手前らはここでなにしてたンだよ。」
双子に向かって問いかけた。
葉月は俯いたままなにも喋らず
葉琉が呟いた。
「お父さんとお母さんの復讐…」
「ここにいた奴等がその復讐相手だと思ったのか?」
中也が更に質問を重ねる。
「違う!そこまで莫迦じゃない!
確かに、まだ復讐相手は見つかっていないけど
彼方此方で暴れていたらどこかの組織の目につくと思った。
その組織が復讐相手なら襲ってきたら殺すまでだと思ってた。
…先刻まではポートマフィアも復讐候補の一つだったよ。」
そう云って葉琉は中也を睨んだ。
中也はそーかいそーかい。といわんばかりに月を見上げた。
次は太宰からの質問が飛んできた。
「二人のことは萩原さんから聞いたことあるけど
戦闘訓練や暗殺訓練はしたことがないよね?
そんな二人がこんな危ない組織に復讐なんて
よく考えたね。」
その問いに最初に答えたのは俯いていた葉月だった。