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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第1章 月に吠える


「さッ!こんな所に何時迄もいないで移動しよう。
移動しながら話そうではないか」

太宰は手をパンッと合わせて葉月、葉琉、中也を促した。
まだ現状を把握しきれていない葉月、葉琉はすぐに動けずにいた。
太宰はそんな二人にそっと手を差し出し

「お手をどうぞ。お姫様」

と微笑み葉月の手を取った。
抵抗しても無駄と判断し、葉月は太宰に支えられながら立ち上がった。

「どういうことなのか、ちゃんと説明してくださいね。えーっと…」

「太宰。私は太宰治。
よろしくね。葉月ちゃん」

名前を呼ばれて目をパチクリさせる葉月。
太宰はそのまま葉琉にも目を向けて

「よろしくね。葉琉ちゃん」

と云った。
葉琉も同じく目をパチクリさせて

「……よろしくお願い致します…」

と、釣られて返事をしてしまった。

「あそこの帽子置き場君が中原中也。
ほら、中也。
葉琉ちゃんエスコートしてあげて」

太宰は葉月の手を引きながら中也に云った。
中也は納得できない様子で太宰に質問を投げかけた。

「おい太宰。俺がみた資料には萩原さんの双子は【15歳】って書かれてたぜ?
其奴らどっからどうみても10歳になるか、ならないかくらいだろうが。
って!一言多いンだよ!包帯無駄遣い装置!」

中也の質問に足を止めた太宰は中也のほうに顔を向け最後の中也の言葉を無視して応えた。


「この二人は萩原さんの双子で間違いないよ。
異能力がそれを証明している。
見た目については後で彼女たちから聞けばいい。
………まぁ、大凡の検討はついているけど」

そう言って再び歩き出した。
それを聞いた中也はため息混じりで帽子を被りなおし
葉琉に手を出し「来い」とだけ言って二人でその場を後にした。
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