第4章 西方組織抗争
ーーポートマフィア拠点ーー
「では皆さん、作戦通りお願い致します。
たぶん遭遇しないと思いますが、もし異能者に出会った場合先ずは私達に連絡下さい。
開戦の合図は此方で上げます。その合図を確認次第、殲滅をお願いします」
「葉月!行くぞ!」
「はーい!
では皆さん、宜しくお願い致します」
部下達にそう言い残し、私は中也の元へ駆けていった。
「中也さん、安全運転でお願いしますね!」
「ハッ!そりゃァ出来ねぇ相談だな」
私達が乗っているのは車やバイクではない。
大人が四人程立てるサイズのコンクリートブロックだ。
「危ねぇって思うならしっかりと捕まってろ!」
そう言うと私達が乗っているコンクリートブロックが浮いた。
異能力ー汚れつちまつた悲しみに
そのまま勢いよくブロックは敵拠点の上まで飛んでいった。
飛行機の準備もなく、上から突撃出来るのは我々くらいだろ。
「っしゃァ!行くぜ、葉月!」
「判りました!」
私はそのブロックに手を付けた。
異能力ー氷島
中也の目の前には幾多もの氷の柱が出現した。
「少し見やすくしてやらァ!」
中也は目の前にある氷の柱を蹴り砕いた。その破片や塊は中也の異能力で浮いている。だが、直ぐに敵拠点周辺に向けて勢いよく落ちていった。ちょっとした隕石の様だ。
粗方の建物は重力を纏った氷の塊に潰された。
私達は近くに降り立った。
「お?」
目の前には短機関銃を構えた大勢の敵が構えていた。
ざっと見ても数十人はいそうだ。
建物がないお陰でだいぶ見晴らしがいい。
「済まんなぁ。ウチの参謀が病み上がりでな。急いでンだ」
「やめて下さいよ、中也さん」
敵は構えを止まない。
撃ってもこない。
中也は小さい溜息を吐いて私に目配せした。
私は地面に手を付き再び中也の前に氷の柱を出した。
中也はそれを先程より細かく砕き、敵に一斉に飛ばした。
「ぐはっ!」
「うわっ!」
中也は手を止めることなく、攻撃を続ける。
私も機会をみて弾を補充する。
「ッし!粗方片付いたか?」
中也が周りを見渡した。目の前にあれ程いた敵は気が付くと地面に倒れていた。だが、まだ息が有るものが多い。
私は持ってきていた小さい花火を打ち上げた。