第4章 西方組織抗争
直ぐに私は退院した。
激しく身体は動かせないが、作戦立案ならできる。
私は拠点に戻り次の作戦を考えた。
私が眠っていた数日、ユートピアの様子が変わったようだ。どうやら動きが荒々しくなっているらしい。
原因はあの男だろう。参謀が消えた事により今まで大人しくしていたのが如何していいか判らなくなり暴れているようだ。
「葉月。ユートピアは残りの組織を集めて一気に攻めてくる心算だ。如何する?」
「ここら辺で戦闘を行うのは得策ではないでしょう。被害を最小限に抑える為、此方から攻めましょう。スラム街にある廃ビルに動きがあります。たぶん其処に集まっていると考えられます」
横目で中也に合図を送る。
中也も気が付き頷く。
「よし、準備にかかれ!このスラム街に俺達も拠点を作る!全面戦争と行こうじゃねェか!」
構成員達は直ぐ様取り掛かる。
私もスラム街に仕掛けたカメラの様子を伺う。
「おい葉月」
「何ですか?中也さん」
「手前は残れ」
私は画面から中也に視線を移した。
「まだ手前は病み上がりだろ。大人しくしとけ」
「今回動員する構成員の数は五十名。相手の規模は私達の倍はいると考えています。その中には異能者もいます。中也さんには最前線にて戦って貰わなくてはいけません。出来れば、構成員達の指揮を気にせず戦って欲しいです。これが一番勝つ確率の高い方法です」
中也は私の目を見つめたまま外さなかった。
私も晒さずに真っ直ぐ中也を見ていた。
「…ッたく!手前は昔から俺の言うことを微塵も聞きやしねぇ!
変なところばっかあの木偶に似ちまったな」
「そりゃああの方からの御教授の賜物ですね」
「足引っ張ったら直ぐ連れ戻すからな!」
そういうと中也も準備に取り掛かった。