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暗闇の蕾【文豪ストレイドッグス】

第4章 西方組織抗争


ねぇ葉琉。
私、お父さんとお母さんの仇取れなかった。
もう葉琉が何も考えずに生きていける世界を作りたかった。
ごめんね。お姉ちゃん、またーーー




「……あれ」

「葉月!目ェ覚めたか!」

消毒の臭い。ここは何処かの医療施設だろうか。

「…中也?」

私が寝ている横の椅子に中也が座っていた。凄く不安そうな目で私を見ている。

「私…此処どこ?なんか身体が動かない」

「此処は病院だ。手前は路地に倒れてたんだよ。……なんで一人で行ったんだよ。如何して一言、俺に言わなかったんだ!」

「中也…ごめんね。でもこれは私達のことだから。……巻き込め無いよ」

そう、中也は巻き込めない。だって中也は私の大切な人だから。

「手前は莫迦だ。大莫迦野郎だ!」

中也は私の手を握り俯いた。心配してくれているのが凄く伝わってきた。

「…葉月が吐血して倒れてたって聞いた時、凄ェ心配した。俺の前から消えちまうんじゃねぇかって。…もうこんな気持ちは懲り懲りだ」

中也は私の目を見た。その瞳は何かを決意した物だった。

「なぁ葉月。俺はー」

「止めて中也!」

私は中也の言葉を遮った。その言葉の続きが判ってしまったからだ。でも、いまその言葉を聞いたら甘えてしまう。自分の決意が崩れてしまう気がした。そして、中也に待っててなんて言えない。
中也は寂しそうな顔で私を見ている。

「……姐さんから聞いてたんだ。葉月の決意。判ってる。この続きはまた今度だ」

中也は立ち上がった。その表情は少し和らいでいるように見える。

「…ごめんね」

「謝んじゃねぇよ。これは俺の決意だ」

扉の方へ歩み寄り、取手に手をかけた。
少し止まってから私の方へ振り向いた。

「まだ抗争は終わってねぇぞ!サッサと治して作戦立てやがれ!」

その表情は何時もの中也だった。
私もつられて笑った。

「はい。直ぐに前線に復帰します」

そのまま中也は部屋を出て行った。
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