第9章 【刀剣乱舞✕東京喰種】よだれ塗れの刀剣は主がお好き
「うわぁあんっ、よがっだぁあ!!」
「よがっだでずぅうぅ!!」
「うぇええんっ、おおぐりがらぁあ!!」
短刀三振りが大声をあげてわんわんと泣きながら大倶利伽羅へと飛びつく。
結構な勢いで飛びついたせいか、さすがの大倶利伽羅も短刀とはいえ三振りからの体当たりに耐えきれず背中から倒れ込んでいた。
泣きつかれた当の本人はあわあわと慌てていたけど、でもすごく嬉しそうだ。
口元がふにゃふにゃと動いているし、何より潤んだ目元がとっても緩んでる。
見守っていた山姥切も、布を深々と被って口を固く閉ざし堪えてこそいるが、その目尻に光るものは隠せていない。
良かったね、と声をかけると大倶利伽羅にしがみついていた三振りは瞬時に泣き止み、首がとれてしまうのではと思うような勢いで主の方を見た。
「んむ?」
ーーー
あれから、あの日から半年。
無事に元通り直った大倶利伽羅は、三日月殿や鶴丸殿のように主にべったりになった。
他所の本丸では馴れ合わない一匹狼らしいけど、・・・まあ、概ね予想通りかな。
つまりね。
結論から言うと、六振りは割とあっさりこの本丸に馴染んだ。
最初は遠慮しいだったけど、主の色んな意味で大胆な無意識の優しさに触れるうちに、我儘を言うようになった。
我儘と言うよりは、どちらかと言うとお強請りに近いけどね。
それが、一番警戒心の高い大倶利伽羅が真っ先に主に懐いたことで、彼らは主との距離をより縮めた。
ここ最近なんて、ようやく完成した主従の証たるあの赤黒い短剣を与えられ、こぼれ落ちそうなくらい目を見開いて輝かせて、主に飛びついて感謝の言葉を連呼していた。
確かに嬉しいのは分かるよ。
短剣を与えられてからというもの、主への忠誠は益々確固たるものになり、それに見合った刀剣男士になろうと切磋琢磨している。
お陰であっという間に練度を上げ、少数精鋭だった我が本丸としては、戦力拡充できてかなり有難い。
こんのすけもおいおいと泣きながらだけど、凄く喜んでいた。
勿論、こんのすけを笑いながら見ていた主もね。
まあでも、嬉しさ余って単騎で出陣しかけた時は、さしもの主も真顔になって、甘やかすことはせず殴って気絶させて止めていたけどね。
主の特性に、食性に驚きこそすれど怯えはしなかった六振りは、現在、主により猛特訓中だ。