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混合短編集

第9章 【刀剣乱舞✕東京喰種】よだれ塗れの刀剣は主がお好き


顕現したては、当然のことながら練度が低い。
故に折れてしまいやすいとこんのすけから聞いた主が、万が一僕らが折れてしまわないように、とわざわざ作ってくれた。

それも、主の背から生える赤黒い蛇(赫子)を細く剣の形に変形させ、一つ一つ折り取って作ったもの。
持ち手にはその剣で怪我をしないように、ちょっとやそっとじゃ切り裂けない特殊な布と、それぞれの刀紋を刺繍した革布が巻かれている。

もし重傷を負ってしまって己の依り代を振るえず、敵の攻撃を受けそうになったら使えと言われている。
勿論、何度か世話になったし、これのおかげで命拾いもした。

これさえあれば負けることなど、まずないだろう。
だが、できることなら使わずに終われたなら、それに勝るものはない。相手は歴史修正主義者ではないのだから。

全員がそれを収める懐に手をやり、祈るように摩った。


「何にせよ初めてなんだ。どこまで僕らの力が及ぶが分からないけど、常連相手に足掻いてみようじゃないか。」

決意を込めた言葉を言い切ったと同時に、演練開始の銅鑼の重厚な音が響いた。




ーーー



「全敗となると、いっそ清々しいな!」

5試合全てを終え、終了の放送がかかる。結果僕らは全戦全敗。
大口開けて豪快に笑う岩融は自らの依り代を杖のようにつき、年寄り臭く腰を叩いた。

「岩融さん、のるまどころか一番最初にあっさり離脱だったもんねー」
「いやぁ、すまんすまん!」
「もー!謝る気ないでしょー!」

そんな岩融の横にやって来たのは乱で、お腹をかかえてケラケラ笑っている。それにつられてこちらも笑みがこぼれる。
つられたのは僕だけじゃないようで、蜻蛉切や堀川も口元に手を当て、隠しきれない笑いを噛み殺している。


「残念ながら負けてしまいましたが、ただの負けではなく学ぶものが大いにあった、充実した演練でしたな」
「帰ったら鍛錬のし直しですね」

その通りだ。
確かに負けは悔しい。けれどそれ以上に僕らに足りていないものが沢山見えた。
それは戦法であったり連携であったり様々だけど、足りないのだからやることは山のようにある。

戦った相手は5組だけだけど、5通りの戦い方が見れた。
奇抜なものや力技なもの、正攻法らしからぬもの程参考にさせてもらうことにしよう。
真っ向勝負などしない主に似て、斜めや後ろから仕掛ける僕らに合いそうだから。
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