第8章 【刀剣乱舞✕色々】チートな幼女の過去話

「起こしに来てくださって、有難う御座います」
「気にすんな。じゃあ、俺は赫映んとこ戻るからな」

私に背を向け部屋から去る彼は、ひらりと一つ手を振った。




ーーー


「あー！！またたぬきが先かよー！！たまには譲れよ！！」
「うるせぇ！早いモン勝ちなンだよ！！」
「もー！邪魔ぁ！！」
「てめぇこそな！」


同田貫殿が部屋を出てしばらくした頃、何処か(多分御前の自室)で唐突に加州殿と同田貫殿の喧嘩が始まったようだ。

寝間着から内番服に着替えていたが、つい聞き入ってしまい手が止まる。内容が内容なだけに苦笑してしまう。


これはいつもの事。

平穏の証。
幸せの象徴。

故に誰も止めようとはしない。


あの地獄の最中(さなか)では有り得なかったそれが起こるという事は、皆に笑顔が、幸せが満ちてきたということ。

こんなにも幸せな光景に水を差すような真似をする輩はいないだろう。



「膝枕とかズールーいー！！」
「あーもう、うるせぇな！！どっか行けっつーの！！」
「やーだねッ！！」



屋敷中にそんなくだらない怒鳴り合い(小競り合いとも言う)が響き渡れば。
今日(こんにち)も一日平和だ。





END