第2章 ***
ガムテープの下から現れたのは、直径2㎝程の丸い穴。
無意識にその穴を覗き込んでみれば、あろう事か隣の部屋が丸見えだった。
いくらボロくて壁が薄いとはいえ、まさか隣の部屋がこんなにハッキリ見えてしまうなんて…
「……、」
ちらりと覗いた先に、城山の姿は見当たらなかった…どうやら外出しているらしい。
ホッと胸を撫で下ろす。
そうして俺は、また新しくガムテープを貼り直した…
『ぁんっ…、ぁっ……』
「………」
その夜…
いつものようにまた城山がオナニーをし始めた。
ここ最近はヘッドホンをしてその声を聞かないようにしていたが、俺の中でむくむくとイケナイ欲望が芽生え始める。
――アイツがどんな風に自慰をしているのか見てみたい…
今朝見つけ、もう一度閉じたはずの穴…
その上から貼ってあるガムテープにゆっくりと手を伸ばす。
「………」
決して俺は城山に欲情している訳ではない。
これはただの興味本位だ…
地味で陰気なあの女がどんな事をしているのか…
そもそも俺は毎晩迷惑しているのだから、これくらいの事をしたってバチは当たらないだろう…
そう身勝手に自分自身を擁護し、勇気を出してそっとガムテープを剥がした。
「……、」
ごくりと唾を飲み込む。
恐る恐るその穴を覗き込むと、その先にベッドが見えた。
そしてその上には、M字に脚を開いている城山の姿があって…
「っ…」
一瞬気付かれてしまったかと思い、慌てて穴から顔を離す。
まさか城山がこちらに体を向けているとは思わなかった。
(あ、危ねぇ…)
もし覗いた事がバレて、警察にでも通報されたら俺は一巻の終わりだ。
けれどこんな小さな穴…しかもここから城山のいる所まではそれなりに距離がある。
向こうから気付かれる事はまず無いだろう。
そう思い直し、俺はもう一度穴に顔を近付けた。
城山は部屋着を身に着けていたが、上も下もすっかりはだけ厭らしい格好になっている。
滑らかな白い脚に豊満な胸…
あの地味な女がこんな魅力的な体をしているとは予想外だった。
「ぁん…、あぁん…っ…」
「……、」
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