第8章 確認のため
怖い
目の前の男が怖い
落ち着かなきゃ
冷静にならなきゃいけないのに体は震え、目から止まらない涙
腕を押さえられ上に乗られ逃げれない、動けない
『た、すけ…』
「アハハ!可哀想なうさみ
助けなんか来るわけないじゃん!
ここは僕のエリアだ
僕と君しか居ないんだよ」
舐めるように上から下を見るレイスを見て吐き気がした
怖い、怖い怖い怖い怖い…!
「痛いのが嫌ならキモチイイことをしようよ」
この男が憎い、嫌だ!
叫びたくても声が喉に詰まって出ない
抵抗したくても動けない
誰か…
「随分面白いことをしてるなレイス」
『!』
レイスの腕が赤く染まっている手に掴まれた
「は?何で君がここに居るわけ?」
「…本当にお前がやったんだな」
「意味がわかんない。僕の質問に答えろよトラッパー」
トラッパーはうさみを引っ張り担ぎ上げてレイスから引き離した
その瞬間レイスからの殺気が肌でピリピリと感じるくらい放たれた
「真実を見に来ただけだ。」
「…真実?まぁいいや、君にはガッカリだよ
僕の楽しみを邪魔したあげくうさみを取り上げてさぁ?」
「俺もお前にはガッカリだ」
「本当に意味がわからないよ
彼女を返してくれよ、お互い楽しみ中だったのにさぁ」
トラッパーはグッタリとしているうさみを見て心から申し訳なく思った
何故試してしまったのか、もっと早くに気づけばよかった、と
「こいつはお前に渡さん
アンナの元に届ける」
「ふぅん?なら奪い返すのみだね」
レイスは武器を振り上げトラッパーを狙って殴りかかった
トラッパーは舌打ちをした
自分がいつも使っている武器を持ってきていない
素手で勝てるはずがない
腕の中で震えてる彼女を一早く届けてあげなくては
どうせエンティティもこの状況を楽しみながら見ているはずだ
忌々しい…!
焦りながら避けて逃げているとうさみの服に固い物があるのに気がついた
ポケットに何かを入れている?
何でもいい!武器の代わり…もしくは怯ませられる何かを!
急いでポケットの中に手を突っ込んで取り出した