第8章 確認のため
トラッパーは襲いかかってきたレイスの肩にガラスの破片を刺しこんだ
「ぐぁっ!?」
なぜガラスの破片がポケットの中にあったのか疑問に思ったがおかげで怯ませられた
このまま彼女を逃がさなくては
未だに彼女はグッタリとしていて目は虚ろに濁っていた
精神的にやられてしまっているのが一目同然だ
走りながら腕の中で収まっているうさみに心から謝った
レイスは赤く染まった自分の肩を見た
まさかこちらが有利だったはずなのに逃げられるとは…
「ふぅ…やってくれるじゃないか…」
自分がイライラしているのがわかる
ガラスを抜き、止血をしながら逃げていった方を見つめる
あぁ…本当に残念だ!
やっとハントレスの住みかに着いた
ハントレスは儀式中なのか居なかったが丁度良い
急いで家の中のベットに寝かせ声をかける
「おい、しっかりしろ」
『…?』
「うさみ!…大丈夫か?」
『お…遅い』
「何が?」
うさみは上半身だけ上がらせトラッパーと向き合った
『来るのが…来るのが遅い!
どれほど怖かったことか!なんでもっと早くに来なかったの!?』
「すまない、近くに居るとバレるだろ?遠くから確認していたんだが…
やはり距離があるから遅れてしまった
それに試す為に利用してすまない」
『なにもされてないから良かったものの!
本当に怖かった…結構トラウマだったみたい…』
トラッパーはうさみの頭を撫でるように荒れた髪の毛をとかした
「…怖い思いをさせてすまん」
『あっ、いや、いやいや…
こっちも怒鳴ってごめん
助けてくれたのに私は自分勝手に怒って…』
そうだ、ちゃんと助けてくれたのにお礼も無しで怒って…
なにやってんだろ私
「お前は何も悪くない!俺が…」
『ううん、私も悪かった
それと…助けてくれてありがと、う…?』
え?なんで今トラッパーに抱き締められてるん?
ちょ、逞しい腕が絡み付いて苦しいっス
『な、に?』
「少しだけでいい、このままで居させてくれ」
『わかっ、た』
グリグリとトラッパーの顔が胸に擦りよってくる
なにこの状況…恥ずかしいなオイ!
絶対顔が真っ赤になってる、熱い、熱いぞ!
ま、まぁトラッパーも信じてた奴の本当の姿を見てショックを受けてるんだろうし…
…暫くはそっとしておこう