第2章 ***
俺たち家族がこのマンションに越してきたのはおよそ一年半前…俺の高校入学と同時期だった。
水戸さんには、所謂ひと目惚れというやつをして。
今日みたいに話すようになってから、俺は彼女の事をどんどん好きになっていった。
美人だけど着飾らず、俺にも気さくに話し掛けてくれるところ…
時折少女のような一面を見せる可愛らしいところ…
彼女の好きなところを挙げだしたらキリが無い。
人妻に恋をするなんて許されない事だと解っているが、それでもこの気持ちは日に日に抑えられなくなっていった…
「んっ…、」
家族が寝静まった真夜中…
壁を背にし、ベッドの上で自慰をする。
水戸さんの事を想いながら、最近はほぼ毎日この行為に耽っていた。
彼女をオカズにするなんて当然罪悪感はあったが、それでも自身を扱くこの手は止められない。
(…はぁっ…、水戸さん……)
目を閉じ、彼女の顔…声…匂いを思い出しながら両手を上下に動かす。
今日は2週間ぶりに旦那さんが帰ってくると言っていた。
今頃2人はベッドの上で愛し合っているのだろうか…
そんな事を想像しながら、自身を扱く手に力を込める。
彼女はどんな顔をして旦那さんを求めるのだろう…
どんな声を出して旦那さんを誘うのだろう…
こんな妄想をしてはダメだと解っているのに、俺の興奮はどんどん高まっていく。
「んっ…、はぁ…っ…」
先端から先走りの液が溢れてきた。
それを潤滑剤にし、先端を重点的に弄る。
この手が水戸さんの手だったら……あの白くて綺麗な手で扱かれたら、きっとあっという間にイってしまうに違いない。
「…ぁっ……水戸さん…っ…」
とうとうその名を声に出してしまった。
俺が夜な夜なこんな事をしていると知ったら、彼女は一体どう思うだろうか…
それから程なくして俺は欲を吐き出した。
達した後の空しさといったら無い。
彼女を汚してしまったような気になりいつも後悔するのに、俺はこの行為を止められないでいるのだ。
(…俺は毎晩何をやっているんだろう……)
それからテスト期間も終わり、俺はまた部活動に励んでいた。
今日はいつも以上に汗をかいてしまったので、帰宅前にシャワーを浴びる。
そうして外へ出ると、辺りはもう真っ暗になっていた。
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