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*飼い殺し*【R18】

第2章 ***





「成瀬、聞いたぞ?昨日C組の池田さんに告白されたんだって?」

「………」

朝からそう声を掛けてきたのは、クラスメイトの早坂だった。
一体どこでそんな話を聞いてきたのか…


「で、なんて返事したんだ?」

「断ったよ…彼女の事あまりよく知らないし」

「マジかよ!あんな美人に告白されて断るとか、信じらんねぇ…」

そんな事を言われても…好きでもない相手と付き合うなんて俺には出来ない。
それに俺は…


「いいよなぁお前は…。顔も良くて頭も良くてスポーツ万能で女も選び放題。俺だってそんな風に生まれてたら、きっと人生変わってただろうに…」

「………」

「お前って悩みとかあんの?」

「…当たり前だろ」

「えっ…マジで?どんな悩み?」

「…秘密」

「ちぇっ…」

そう口を尖らせる早坂…一体俺を何だと思っているのだ。
俺にだって悩み事くらいある。
他人には絶対に打ち明けられない事だけれど…





「あら飛鳥くん、お帰りなさい」

「っ…」

学校から帰宅すると、マンションの入り口で意外な人と顔を合わせた……隣人の水戸さんだ。


「今日は早いのね。部活お休み?」

「はい…もうすぐテスト期間なので」

「そっかぁ…。でも飛鳥くんは優秀だって聞いてるわよ?」

「…そんな事ありません」

そう他愛ない会話をしながら2人でエレベーターに乗り込む。
ふと漂う彼女の甘い香りにドキリと心臓が跳ねた。

何を隠そう、俺はこの人――水戸かすみさんに恋をしている……それが今の一番の悩みだ。
何故なら彼女は"人妻"なのだから…


「今日はずいぶん大荷物ですね」

水戸さんの提げているスーパーの袋を見て思わずそう言った。
すると彼女は少し照れ臭そうな顔をして…


「出張で家を空けてた旦那が2週間ぶりに帰ってくるの。だから今日は豪勢な夕食でも作ろうかなぁと思って」

「そうですか…」

あからさまに落胆してしまう。
そんな話なら聞きたくなかった…



「それじゃあ飛鳥くん、またね。お勉強頑張って」

「はい…ありがとうございます」

そう挨拶して彼女と別れる。
2人きりで話せた事自体は嬉しかったが、何とも言えない複雑な気持ちにもなった。



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