第1章 SOLO
「ん…う〜ん、ムニャ…」
ギョッ
マズい。起きるか?
「スヤァ…」
少し腕を動かしただけで、桃浜はまたスヤスヤ言い出した。
よかった、目が覚めた訳ではなさそうだ。
安堵のため息をつきながら、オレは自分のムスコを見下ろした。
驚いたもので、桃浜にバレるかも、というピンチを迎えたオレのそれは、萎えるどころか更にガチガチといきり立っていた。
本当にまったく、しょうもない。
フウ、と息を吐きながら手の動きを再開した。ここまできて止める訳にもいかないだろう?
手を往復させるたびに性感が高まる。
桃浜の顔をジッと見つめながらこうしていると、本当に彼女としているような錯覚さえ覚える。
(桃浜…桃浜……、桃浜………ッ)
心の中で何度も彼女の名前を叫んだ。
彼女にもオレの名前を呼んで欲しい。目を開いて、クリクリした可愛い目を快感に蕩けさせて、オレのことを真っ直ぐに見て欲しい。ふっくらした唇を動かして少し恥ずかしそうに、もっと、なんて言って欲しい。丸みのあるその腕を伸ばして、オレの首に絡ませて、ギュウと体を寄せて欲しい。胸元のふたつの膨らみ、甘く柔らかな体臭、鈴が転がるような声音。全部をオレに、預けて欲しい。