第16章 信じられない馬鹿
クロウ
「ノアが大人の姿に…か…」
クロウさんは何かを考えているようで、
赤い瞳を細める。
魅菜
「…クロウさん…勝手に木の箱を開けてごめんなさい。
あの…勝手な事をして勝手なワガママ申し訳ないんですけど、
あの木の箱の中身を捨てて欲しいんです。
あれはもう…私には必要ないですから……」
クロウ
「え?」
魅菜
「…もうあれは要らないんです。
私は…この妖界で生きていくって決めたんです……
そして…出来れば……」
"クイッ…"
クロウさんは私の顎をくいっとあげる。
魅菜
「…ッ……」
クロウ
「…俺の嫁になるって覚悟できたの?」
甘くて溶けそうな声でクロウさんはそう言う。
魅菜
「ごめんなさい…
私……黒さんの側に居たいなって………」
するとクロウさんは、
小さな溜息を吐く……
クロウ
「ふぅ…仕方ないか……
あーあ、自信あったのにな。」
私の肩から手を離した。
魅菜
「私…黒さんの家に戻ります……
あっ!でもノアくんのお世話は引き続きするので
明日からも任せて下さいね!」
クロウ
「ああ、助かるよ。」
魅菜
「はい。それじゃ…」
私はクロウさんの自宅…墓場から飛び出した。