第27章 いつぞやの会話-暴走編-
「不思議だ…」
「どうした、エルヴィン」
「ミケ。いやなに、この前のことを思い出していたんだ」
「この前…談話室で飲んだ時のことか。試してみるか?」
「そんなこと…」
「うまいと言っていた酒を奢ってやれ。これなら騙したことにはならないだろ」
…
…
…
「…すぅ…」
「予想通り、だな」
「…んにゃ……すぅ…」
「本当に不思議だ。決して強い酒じゃないのに」
「それはつまり、エルヴィン、お前がいるからだろう。お前が一緒だから、安心して眠ってしまったんじゃないか?」
「それは……そんな…」
「?」
「い、いや、その…」
「どうした」
「嬉しいな…と思って」
「そうか。良かったじゃないか」
「……はっ!いや待て、ある意味由々しき事態だぞこれは!」
(瞳孔が開いている…この顔、正直怖い)
「ミケ!」
「なんだ(できれば目を合わせたくないが)」
「安心している、と言ったな?」
「ああ、言った」
「それはつまり、ナナバに男として意識されていないということにならないか?」
「……………は?」
「こんなに無防備な顔!ほっぺたなんてすべすべで柔らかくて思わずつついてしまいたくなる…んあああ!なんて癖になるさわり心地!!!」
(まずい、また始まった)
「可愛い!可愛い!とてつもなく可愛い!」
「よかったな。可愛いのはいいことじゃないか」
「そう!可愛いのはいいことだ!だがっ!」
「だが?」
「意識されていないなんて…」
「落ち着け。そもそもナナバがそう言ったのか?」
「男としてみられていないなど、これから先私はどうしたらいいんだ!」
(人の話を聞いていない…)
「ミケ!私は!どうしたらいいんだ?!【ピー】とか【ピー】とか、するのに困るじゃないか!!!」
「っ、おい、待て」
「他にも【ピー】や【ピー】や【ピー】をしてみたりだな!」
「待て」
「いや、案外彼女から【ピー】【ピー】してくれるかもしれないな!」
「だから待てと…」
「どう思う?!」
「………知らん。好きにしろ」
「好きに…好きに……」
(まずい、明後日の方向にいってしまった)
「そうだ、今度は外でしよう!マンネリを防ぐためにも!」
「………」
「ふ、ふふ、ふふふふふ」
(もうだめだ。ナナバ、すまん)
fin