第12章 いつぞやの会話-刺激編-
「夏だ」
「そうだな」
「はい」
「実に素晴らしい季節じゃないか。ミケ、ゲルガー、そうは思わないか?」
「あぁ」
(…これな、もうわかってるんだ)
「何が素晴らしいか…。そう、薄着だ!」
(ほらキタぁああ!!!)
「実にいい!スレンダーなナナバにぴったりだ!いや、勿論何を着ても似合うぞ!」
「…あぁ」
(割りといつも通りの格好に見える、俺には)
「だが、それとは別に不安な事もある」
「……あれ、だな」
(『あれ』?何だ?)
「夏の時期にだけ囁かれるまじない…」
「おい、エルヴィン。それ以上はやめておけ」
「…夏は、いや夏が」
(団長、夏に何か恨みでもあんのか…?いや、まさかな)
「胸を……」
(胸?アイツの胸の話か?…ぺったn、あ、いや、何でもねぇ!)
「刺激する!!!」
「エルヴィン…」
「危険だ…、実に危険だ!」
「……はぃ?」
「そうは思わないかね?!ミケ!ゲルガー!」
「あぁ…。一切抗えないからな…」
「っと、夏、が…?」
「む?」
「夏が、えっ、刺激?アイツの胸、ですか?(デカくなるとかか?)
「まさか…、まさか!」
「エルヴィン…。残念だが、昨今は通じない人間の方が多いと聞く」
「なっ!?」
「流れゆく人々の記憶と共に、過去の遺物となる…。ある意味仕方のないことだ」
(何の話だ???)
「いやしかし、こんなポピュラーなまじないは他にないぞ!」
「世代間ギャップ…」
「!!」
「現に、目の前のゲルガーには通じていない」
「そんな……」がくり
(盛大に項垂れちまった…)
がば!!!
(うぉ!凄ぇ気合いの入った顔…、って嫌な予感がする)
「…よし、ならば講釈をするまで…!」
「うぇぅっお?!(やめてぇぇえ!!!)
「遠慮はしなくていい。共に学び、そして語ろうじゃないか!」
「ちょ、ミケ、どうにか」←小声
「頑張れ★」←小声
「おま、何でさりげなくファンシー感出してんだよ!つか似合わねぇ!」←小声
「エルヴィン、ゲルガーはやる気に溢れているぞ」←真顔
「そうか!流石は歴戦の兵士、実に頼もしい限りだ」
「え、いや団長、ちょっと待っ」
「早速、会議室を押さえてこよう。楽しみに待っていてくれ!」
「……フ」
「あ…、う、裏切者ーーー!!!」←小声
fin