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第1章 。


青江いわく
彼が帰ってこない辛さを私一人で抱えてしまった故の末路だと。
そうさせてしまったのは自分たちの
存在を無かったことにする
という選択間違いのせいだと語った

君も僕もそう長くない
でも最後まで僕は君の祈りに手を貸したい

そう言って眉尻を下げ困ったように笑う青江をよそに
東の空に火の手が上がった
また歴史修正主義者が襲ってきたのだろう

唯一頑丈な結界を張っている私の部屋に青江を招き入れた
人間1人だけなら一生暮らせるほどの設備がある
冷蔵庫を開ければ4次元ポケットのように
物が浮遊しており好きなものを好きな時に食べれ
簡易だが厠もあるのでここで籠城する事を決めた

机の上にある彼と2人の写真を飾った写真たては伏せたまま
交換日記も書きかけのまま放置していた

そんな状況を知られるのは少し恥ずかしいはずなのに
私はもう無気力だった
祈りはやめ
今日を終える安堵と明日への不安を抱くだけの生活になっていた

それから5日後に青江は刀に戻っていた
朝起きると必ずおはようと声をかけてくれていた
なのに声が聞こえなかった

刀に戻っている事に気付いても
何とも思わなかった
感じるのは自分の最期のみ

部屋の外は騒がしい
戸を開けようと必死な奴らに囲まれている
私を殺してしまいたいのだろう
だがそうは出来ず苛立っているのが伝わる

そんな中私は今この日記を書いている

ねぇ、あなたが居なくなってからこの本丸は変わってしまった
このツケをどうしてくれよう
もうあと2日もすれば私も消滅する
少しずつ体は透けているの
でも私はここにいるの

あなたにずっとここにいて欲しかった
どんな薬よりもその手がただ欲しかった
また私を愛して欲しかった
今にペンも握れなくなる
あぁ、私が消えていく
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