第1章 。
そんなある日だった
本丸の北の山から嫌な気配を感じ
数ヶ月ぶりに部屋から出るとそこには歴史修正主義者達がいた
いつもシルエットだけが見えたはずの長谷部はおらず
私は本丸を駆け回った
誰かを見つけなければと。
幸いにも大和守安定を見つけて
警鐘を鳴らし本丸にいた刀達が敵と戦ってくれた
そこで初めて気付いた
大和守が異常にやせ細り刀に戻るの寸前で体を保っている事
短刀や長谷部が既に刀に戻っていた事
長らく出陣を行っていなかった事
私の全身に斑模様の染みが出来ている事
全てを悟ってからとにかく涙に濡れた
今本丸にいるのは大和守、加州、不動、日本号、青江のみだった
私の病のせいで霊力を補充できなくなった刀剣達は
自ら刀に戻っていった事を知り
再び涙に溺れた
そんな私を慰めるかのように
加州は爪紅を塗ってくれ
青江は綺麗だよと慈しむように私を見つめた
そんな彼らにただひたすら謝罪を繰り返し
久方振りに会話をしたところ
皆はただ私を案じて望んでそうなった事
反対する者は1振りとて存在しなかったと聞いた
その晩には青江を残し全ての刀剣が刀の姿に戻った
私には霊力が雀の涙ほどしかなく
青江の刃生ももうすぐ尽きる事を悟った