第1章 幼馴染み。
本気で疑問に思っているのか首を傾げる焦凍くん。
ドキドキと胸が鳴っているがこれはときめきではない、何故それを覚えていると言う恐怖の音。
「あ、ははは、中学のときは、恋愛的に好きだったけれど今は違うよー。」
笑うしかない。お願い、誰でもいいから私をここから逃げ出させて良い和菓子屋教えてあげるから。なんて願っていても、そんなミラクルは起きるわけはなく何故か手を口元に持っていき悩んでいるポーズを取る焦凍くん。
嫌々、悩ましいのは私だよ。
「……もし、俺が咲の事を好きだって言ったらチャンスはあるか。」
「焦凍くん?え、本当にどうしたの?」
なにそれ、私のこと好きなの?そう思うしかない。けれど、自分的には古傷から逃れたいのでチャンスはないと思う。そんな真面目の顔をした焦凍くんに笑いかける。そうだよね、軽く流せばいいんだ。
「うーん、チャンスか。あるような、ないような……。というか、豆大福美味しくない?ここの和菓子屋おすすめなんだ。」
「!、もしかしたらあるかもしれないのか。」
……選択ミスだったようだ。ハッキリ言ってしまえば良かった。そうしたら、焦凍くんも分かってくれるはずだ。
中学の時に告白してフラれて相当なショックを受けた。
本当に好きだったし、小さい頃から『結婚しよう。』なんて子供じみたことを信じていたのはいい思い出。
正直に言って、焦凍くんも私のことを好きだと思っていた。でも、それはただの勘違い。
「……焦凍くんの気持ちは、正直に言って分からない。急に会って告白みたいなことを言われても……。」
「?、俺はずっと咲のことが好きだったぞ。」
じゃあ、なんでフッたのですか?
その言葉が頭に浮かび上がった。もしかして、私の告白をなにかと勘違いしていたとか……?ありそうで怖い。