第1章 幼馴染み。
「お茶、飲まねぇのか。」
飲めないんです、緊張しすぎて。
焦凍くんの部屋は綺麗で、片付いている。そして、焦凍くんには想像できないソファもある。洋風ボーイになったね……。とそんな事を考えている倍ではない。
ソファに座ることはおこがましいので、ソファの下に正座しながら湯呑みを見る。
「和菓子には、お茶が合うだろ。」
「ほ、本当にお茶頂いても……。」
「一緒に和菓子食べるために来たんじゃねぇのか。」
お、お届けに参っただけだよ。何故か焦凍くんは私の隣にあぐらをかき座りこみその足が少し当たった。
「そ、ソファに座らないの?」
「?和菓子食べる為に、咲はそうしてるんじゃねぇのか?」
そういう訳ではないけれどな……。相変わらず、天然ぽいが少し申し訳ない気持ちになった。
「ソファに座っていいの?」と聞くと「いいぞ。」なんて返答が来たので座り、焦凍くんも座らせる。
「よく私のこと、覚えていたね。」
「忘れるわけねぇだろ。」
忘れるわけないか……。お礼を言い、豆大福のパックを持った。よーし、もう意地だ!意地。
「いただきます。」と言い、豆大福を取り出し、パクリと口に入れた。
「お、美味しい!」
「美味いな。」
モチモチの皮に、豆のいい感じのつぶつぶ感がマッチして餡子は甘くなら過ぎずに優しい甘さ。口にとろけていく。やっぱり、お婆ちゃんの和菓子は最高だ。
日頃の疲れが、体から出ていくような感じがして口元が上がっていく。幸せだ……。
そんな中、目線を感じて横を見ると私のことをじっと見つめている焦凍くん。
「凄く幸せそうに和菓子食べるな。」
は、恥ずかしい!大の大人が、にやにやしながら和菓子を頬張るなんてみっともないじゃありゃしない。残っている豆大福を口に頬張った。
「咲、少し聞いてもいいか。」
「ど、どうしたの!?」
急に言われて、焦凍くんを見る。
焦凍くんは、手に残っていた豆大福を食べて無くした。
「まだ、俺のこと好きなのか。」
……は、はぁ!!??もう1つの豆大福を落としそうになり、素早く持ち直す。な、この男一体なんて言ったの?